ワインの製造・販売方針
ワインを製造・販売するにあたり、農楽蔵の方針を。長くなりますが、興味を持ってくださる方はご一読下さい。
1.「ありのままのワイン」の美味しさを知ってもらうために
2.ラベルに品種を載せない理由
3.函館、道南を知ってもらうこと
4.ハレのワインと、ケのワイン
5.酸化防止剤(亜硫酸)を減らす理由
6.農楽蔵で使用する用語の定義
1.「ありのままのワイン」の美味しさを知ってもらうために
発酵中のような溌剌としたワイン、樽やタンクから直接飲むようなワイン、フィルターや火入れの無い生き生きしたワイン。この美味しさを損なわないために、どうすればいいのか。農楽蔵には、3つの大きな柱があります。
●適切に管理してもらえるよう、目の届く範囲で直販する。
●信頼のおける酒販店さんに出荷する。
●流通形態によって、それぞれのロットの安定化処理の方法を変える。
このことにより、自分たちにとって理想のワインの美味しさを追求し、無駄な安定化作業や酸化防止剤添加を抑えることができます。野生酵母での発酵、ノンフィルター、低もしくは無酸化防止剤は非常に醸造、保存リスクの高い方法です。そのため、適切な保存管理をお願いしています。行き先によっては、そのままリリースするのが厳しいと判断した場合、数ある安定化方法から吟味して、適切な処理を施すことになります(テクニカルシートに記載します)。
私たちのワイン造りの理想は、『知識、経験をフル活用して、いかにありのままのワインを造るか』です。ただそれは、盲目的に昔の造り方をすることや、放置することではありません。
2.ラベルに品種を載せない理由
「ボルドーのような」「ブルゴーニュのような」ワインを日本で、北海道で目指すつもりはありません。たとえ同じ品種だったとしても、育つ場所が異なれば、異なったタイプのワインになるのは自然なことです。無理をせず、今の自分の状況を冷静に捉え、ワインの発酵・熟成を無理ない方向へ導く、私たちが日々心がけていることです。結果として、広く世に認知されている「葡萄品種のイメージ」から離れたものになるかもしれません。でも私たちはそれでいいと思っています。
日本の葡萄からできたワインには、日本の個性があります。世界中のワインが簡単に手に入る世の中、海外の劣化イミテーションを造っても意味がありません。もちろん品種独自の個性は否定しませんが、「場所や人の個性の方がもっと大きい」ことを知っていただきたいため、あえて品種をラベルに載せていません
3.函館・道南を知ってもらうこと
ワインは不完全な飲み物です。何かと、誰かと、楽しく飲むことで、さらに美味しさを増し、土地の食べ物、人、環境と繋がりあって、初めて完成します。函館でしか飲めないワインを求めて函館にわざわざ人が来る、実現すれば嬉しいことこの上ありませんが、私たちが求めているのはそれだけではありません。
『道南の風土、飲食を、セットでイメージしてもらえるようになること。日本中で農楽蔵のワインを飲むとき、道南の食材とあわせて道南の話をしながら飲んでもらうこと。』 これが理想です。もちろん、北斗市、厚沢部町、乙部町、余市町、それぞれのワインの個性も探求しています。ワインの確固たる個性(テロワール)を確立するには、まだまだ先の長い話ですが、私たちは探し続けます。
4.ハレのワインと、ケのワイン
ワインは難しいでしょうか?否定しません。難しさ=奥深さが人を惹きつける理由の一つですから。一方、ワインが日本により根付いていくために必要な意識改革があります。気軽に飲めること、食卓に寄り添うこと、グラスでなくても飲めること・・・。
ハレのワインは、ワインについて大いに薀蓄を、大いに難しく語ってほしいと思います。ケ(普段)のワインは、相性や飲み方など細かいことを考えず気軽に飲んでもらいたい。農楽蔵は、ハレとケのワインを造り分けています。
5.酸化防止剤(亜硫酸)を減らす理由
まず、これだけは書いておきます。亜硫酸いわば二酸化硫黄は、古くはローマ時代から使われていました。酸化防止剤と括られる中で様々なものがありますが、これだけ使われてきた歴史が長いものはそうありません。それだけ人間の生活に密着し、慣れ親しんできたものです。亜硫酸はワインのためにあるんじゃないかと思うほど、効果が多岐にわたります。代用品が見つからないのです。
そんな亜硫酸ですが、際限なく使えるというわけではなく、当然人間に対して害はあります(ただし、そういう意味で言えばアルコールもリスクが高いですが・・・)。具体的には、喘息のアレルゲンとなっています。二酸化硫黄が大気汚染物質であることから考えると、納得です。
頭が痛くなる、二日酔いの原因になる、というのは「科学的」に証明されていません。醸造学でも言及されることはありません。頭痛や二日酔いを引き起こす成分は様々あり、人によって感受性が異なるからです。ただし、この問題にできるだけ客観的に考えるようにしてきた個人的な感想でいうと、亜硫酸(結合態も含めて、遊離態はとくに)は、個人差は大きいが、頭痛などの体調に少なからず影響を与えると思っています。
さて、農楽蔵としては、亜硫酸を使わない理由は、以下を実現したいからです。
●引っ掛かりがなく、のど越しがよい。染み渡るような味わい。
●生き生きとしたピュアな香味
●食事との相性が幅広くなる。とくに生魚、魚卵、醤油などにも合いやすい。
少しでも亜硫酸を使うと、上の3点の着地点が微妙にズレます。もちろん、当然品質が悪くなるわけではないです。農楽蔵では、亜硫酸を使う場合もあります。使わずに上の3点を実現するのは、現状の設備と環境では無理だと判断した時です。
亜硫酸を使わないことによって、余計に気を使わなければいけないことが劇的に増えます。でも、そのようなワインは、私たちが小さなワイナリーとして、苦労して独立してまで実現したかったことです。誰にも侵されたくない、私たちの哲学です。
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